昭和60年代に、慈尊院近くに住みついていた紀州犬と柴犬の雑種である白い雄の野良犬がおりました。誰が教えたわけでもないのですが、不思議なことにその犬は高野山への参詣者の道案内をするようになったのです。当院から聞こえる鐘の音を好んでいたため、いつしかこの野良犬は「ゴン」と呼ばれるようになりました。
最初の頃は九度山駅と慈尊院の間を案内するだけでしたが、いつしか慈尊院をねぐらとして、高野山町石道の約20kmの道のりを朝、慈尊院を発って、夕方に高野山上の大門まで道案内し、夜には慈尊院に戻るという毎日を送るようになったのです。
ゴンは2002年6月5日息を引き取りましたが、あまりに参詣者から愛されていたゴンを惜しみ、同年7月23日に当院境内の弘法大師像の横に、ゴンの石像が載せられた「高野山案内犬ゴンの碑」を建てました。
約1200年前の弘法大師の時代にも高野山の案内犬がいたという伝説があり、このゴンは「弘法大師の案内犬の再来・生まれ変わり」「お大師さんの犬」などと呼ばれ親しまれました。今でもゴンの話を耳にされた方々が日本全国よりご来院されております。
尚、童話として出版されています【高野山の案内犬ゴン(出版社: ハート出版)】の新装版本も当院でお求め頂けます。